NHKの人気紀行番組『ブラタモリ』が8ヶ月ぶりに3夜連続のスペシャル版として復活します。皆さん注目の今回の女子アナは、NHK広島放送局の佐藤 茉那(さとう まな)アナウンサーです。
そこで、今回は『ブラタモリ』という番組の歩みや歴代の女子アナウンサーについてまとめてみたいと思います。
「ブラタモリ」とは?
『ブラタモリ』は、タモリさんがいろんな街を訪ね、その街の歴史や地理・地質などに詳しい専門家の話を聞きながら、女子アナウンサーと一緒に街歩きをする紀行番組(旅番組)です。
タモリさんは”街歩きの達人”とも称せられており、地理や地学などの分野にも専門家顔負けの知識を持っていて、その博学ぶりには毎回驚かされます。
民放の旅番組と言えば、グルメを味わうシーンが定番となっていますが、『ブラタモリ』ではそういうシーンは全くと言っていいほど登場しません。有名観光地もあまり訪れていません。
あくまでその街や土地の地形や地質、気象、隠された歴史などにスポットを当てた、かなりマニアックな番組構成になっています。
3夜連続の「ブラタモリ」スペシャル版は「東海道五十七次」
11月2日(土)、3日(日)、4日(月)の19時30分から20時15分まで3夜連続で放映されるブラタモリスペシャル版のテーマは「東海道五十七次」。
東海道と言えば、江戸日本橋から京都三条大橋まで続く道で、途中に53の宿場があった「東海道五十三次」が常識となっています。
しかし、実は53番目の宿場である大津から京都へ向かう道の途中から大坂(現在の大阪)に向かう別の東海道、すなわち「東海道五十七次」があったのだそうです。
今回はそのルートの54番目の宿場・伏見、55番目の宿場・淀、56番目の宿場・枚方(ひらかた)、57番目の宿場・守口を経て大坂(大阪)をめざす旅になるようです。
タモリさんと一緒に旅をする女子アナは佐藤 茉那(さとう まな)アナウンサー。
神奈川県横浜市の出身。2020年入局で現在は広島放送局所属。『NHKニュースおはようちゅうごく』や『あさイチ』の いまオシLIVE山陽担当リポーターなどを受け持っています。
佐藤 茉那アナウンサーは、何と高校時代、『ブラタモリ』の鎌倉ロケの現場に遭遇した経験があるとのこと。まさか、数年経ってタモリさんと共演することになろうとは。驚きですよね。
なお、今回のスペシャル版『ブラタモリ』では、ナレーションはあいみょんさん。また、オープニンとエンディングの曲は小沢健二さんの楽曲が使われています。
「ブラタモリ」の今日までの歩み
2008年に始まったNHKの紀行番組『ブラタモリ』ですが、前期(2008年~2012年)、後期(20015年~2024年)で内容が大きく変わっています。
前期は東京の街巡りでしたが、後期は全国各地に出かけるようになりました。
2008年当時、タモリさんはフジテレビのお昼の番組『笑っていいとも』に月曜日から金曜日まで出演していたため、地方でのロケが難しいという制約がありました。
2014年に『笑っていいとも』が終了したため、タモリさんがやっと自由に活動できるようになり、地方ロケが可能になったのです。
放送スケジュールは次のようになっています。(ウィキペディアより)
【前期】
●パイロット版① 2008年12月14日
●第1シリーズ(15回)2009年10月1日~2010年3月11日
●第2シリーズ(22回)2010年10月7日~2011年3月31日
●第3シリーズ(19回)2011年11月10日~2012年4月5日
【後期】
●パイロット版② 2015年1月6日
●第4シリーズ(263回)2015年4月11日~2024年3月9日
NHK公式では番組の第1回を2015年4月11日放送分(長崎)としており、『ブラタモリ』の放送が本格化したのはこの第4期からのようですが、私個人としては第3シリーズまでの東京の街歩きの方が好きでしたね。
大都市東京にこんなデープな場所があるのか、こんな坂道が多いのか、などなど新発見の連続でした。
さすが坂道が大好きで、「日本坂道学会」を設立したと言われるタモリさんの面目躍如と言える放送内容でした。
『ブラタモリ』は上記のシリーズ以外にも、『鶴瓶の家族に乾杯』との合体スペシャル番組などの特別企画も好評を博しました。
「ブラタモリ」と女子アナ
『ブラタモリ』と言えば、アシスタントとして一緒に街を巡る女子アナウンサーの存在も欠かせません。
この番組は、後述する桑子真帆アナウンサーや近江友里恵アナウンサー、林田理沙アナウンサーなどの人気アナウンサーを輩出し、『ブラタモリ』に出たアナウンサーは出世するとの噂も出たくらいです。地方局から東京アナウンス室に異動し一躍全国区になる、女子アナの登竜門的な番組と見られているようです。
女子アナウンサーの役割
女子アナウンサーと言えば、番組のMCやアシスタントとしてしっかりと準備をしてを臨むというのが一般的ですが、『ブラタモリ』におけるアナウンサーの役割はかなり違っていたようです。
一切下調べなどしないで、タモリさんの街歩きに同行するだけという指示が出されていたとのことです。タモリさんも新しい女子アナが加わるたびに「何もしないでいいから」とアドバイスしていました。
歴代の女子アナウンサー
●初代・久保田 祐佳(くぼた ゆか)アナウンサー
(パイロット版①、第1シリーズ~第3シリーズ)
静岡市出身で慶應義塾大学文学部卒業し、2005年にNHK入局。
放送当時は東京アナウンス室所属でしたが、2024年11月現在は千葉放送局勤務となっています。
●第2代・首藤 奈知子(しゅどう なちこ)アナウンサー
(パイロット版②)
愛媛県松山市出身で日本女子大学家政学部を卒業し、2003年にNHK入局。
現在東京アナウンス室勤務で、2024年11月現在『NHKニュース おはよう日本』のメインキャスターを担当中です。
●第3代・桑子 真帆(くわこ まほ)アナウンサー
(第4シリーズの2015年4月 11日 ~2016年4月2日)
神奈川県川崎市出身で東京外国語大学外国語学部を卒業し、2010年NHKに入局。
現在東京アナウンス室勤務で、2024年11月現在『クローズアップ現代』のMCを担当中です。
ご存知の通り、今や和久田 麻由子アナウンサーと並ぶNHKの看板アナウンサーで、紅白歌合戦の総合司会やオリンピックの開会式の実況中継などニュースから芸能まで幅広い番組を担当してきました。
彼女の特長は、NHKアナウンサーの中では珍しく(?)アドリブが効くところで、『ブラタモリ』の中でもタモリさんと軽妙なやり取りを見せてくれていました。
●第4代・近江 友里恵(おうみ ゆりえ)アナウンサー
(第4シリーズの2016年4月30日~2018年3月24日)
東京都出身で早稲田大学政経学部を卒業し、2012年NHKに入局。
2016年東京アナウンス室に異動となり、『ブラタモリ』のアシスタントを務めた後、NHKを退職した有働由美子アナウンサーの後任として『あさイチ』のメイン司会を担当しました。
「近江ちゃん」の愛称で親しまれる人気アナウンサーの一人でしたが、2021年3月末でNHKを退職するとの驚きの発表がなされました。フリーアナウンサーには転身せず、マスコミ業界から完全に離れ、街作りの仕事に関わることにしたとのことです。
『あさイチ』の最後で彼女が残した次の言葉は大変印象的でした。
「元々建物を見るのも好きだったんですけど、『ブラタモリ』で全国各地を歩かせていただいた経験や災害報道の現場で防災や減災とかを学ばせていただいたことを役立てられると思います。何より『あさイチ』でたくさんの生活の知恵を学ばせていただきました。そういうものを生かしていい街を作って、みなさんに恩返ししたいと思います」
●第5代・林田 理沙(はやしだ りさ)アナウンサー
(第4シリーズの2018年4月21日~2020年3月14日)
神奈川県出身で東京芸術大学大学院音楽研究科修士課程を修了し、2014年NHKに入局。
2018年より東京アナウンス室に勤務し、2024年11月現在は『サタデーウォッチ9』のメインキャスターを担当中です。
●第6代・浅野 里香(あさの りか)アナウンサー
(第4シリーズの2020年4月11日~2022年4月2日)
東京都出身で聖心女子大学文学部を卒業し、2016年NHKに入局。
2020年4月より東京アナウンス室に勤務中です。
『ブラタモリ』収録時、バスを貸し切って東京巡りをしていて銀座を通過中に思わず発した「銀座じゃん」というNHKアナウンサーとは思えないような一言が、タモリさんに受けていました。(笑)
●第7代・野口 葵衣(のぐち あおい)アナウンサー
(第4シリーズの2022年4月9日~2024年3月9日)
新潟市出身で慶應義塾大学法学部を卒業し、2018年NHKに入局。
『ブラタモリ』出演当時は福岡放送局の所属だったが、2024年4月より東京アナウンス室勤務となり、『おはよう日本』のキャスターを担当しています。
『ブラタモリ』の様々なエピソード
専門家たちも絶賛
番組の内容や制作方法に関しては、案内人を努めた専門家たちからも称賛の声が上がっています。
受賞
『ブラタモリ』制作チームは、2010年に日本地理学会から「日本地理学会賞(団体貢献部門)」を授与されました。 番組『ブラタモリ』の制作・放送による地理学の普及および発展に対する貢献が大であるとの理由からです。
また、2017年には「日本地質学会表彰」も受けています。
大学入学共通テストとかぶる?
2021年1月9日に放映された京都府宮津市にある日本三景の一つ「天橋立」。
番組内では、北側から見た天橋立のエピソードなどが取り上げられました。
下の写真が北側の台地から撮影された天橋立です。
ところが、何と放送直後の2021年1月16日に実施された「大学入学共通テスト」の「地理B 」に、日本三景の一つ「天橋立」(京都府)を4地点から撮影した写真のうち北側から撮ったものを選べという問題が出題されたのです。
『ブラタモリ』で1週間前に取り上げられたばかりだっただけに、インターネット上では受験生から「役に立った」と感謝の声が上がりました。
47都道府県制覇と海外ロケ
本格的な放送が始まった2015年4月11日の初回・長崎市を皮切りに、2024年3月9日の最終回・鹿児島県指宿(いぶすき)市まで、263回のロケを行った『ブラタモリ』ですが、2019年3月9日放送の「阿波踊り~阿波踊りはなぜ生まれた?~」の回で、全国47都道府県制覇を果たしています。
あの国民的映画『男はつらいよ』シリーズがそうであったように、『ブラタモリ』にも多くの市町村から招致合戦があったことでしょうね。
日本国内だけに留まらず、『ブラタモリ』は海外ロケまで敢行しています。2018年のイタリア・ローマ、フランス・パリでのロケです。
放送日時、テーマは次の通りでした。
・2019年1月12日 ローマ 〜”ローマは1日にしてならずとは?~
・2019年1月19日 水の街ローマ 〜”ローマは水なしにしてならず!?~
・2019年2月16日,23日 パリ 〜”なぜパリは”華の都”になった?~
このパリロケのすぐ後の2019年4月15日にパリにあるノートルダム大聖堂で火災が発生し、尖塔が崩落し、屋根の大部分が消失するというショッキングなニュースが流れました。
『ブラタモリ』の映像には消失する前のノートルダム大聖堂の姿が大きく写っていたはずです。
※「NHKブラタモリ公式サイト」にも放送回ごとのエピソードが掲載されています。
https://www.nhk.jp/p/buratamori/ts/D8K46WY9MZ/list/
『ブラタモリ』の動画・見逃し配信・DVD・本
◆『ブラタモリ』動画・見逃し配信
ブラタモリの動画・見逃し配信はNHKオンデマンドで見ることができます。
ただし、有料で、1回毎の単品購入か月額990円(税込み)の見放題パックの契約の2つのタイプがあります。
NHKオンデマンド
https://www.nhk-ondemand.jp/index.html#/0/
なお、NHKオンデマンドはNetflix(ネットフリックス)やAmazon Prime(アマゾンプライム)経由でも視聴できます。
Netflix(ネットフリックス)
https://www.netflix.com/jp/
Amazon Prime(アマゾンプライム)https://www.amazon.co.jp/amazonprime
◆『ブラタモリ』DVD
発売されていないようです。
◆『ブラタモリ』公式本
Amazonなどのネット通販で購入できます。
https://amzn.to/3Ae5VNj
「ブラタモリ」のこれから
2024年3月9日放送分をもってレギュラー放送が終了した『ブラタモリ』。番組の制作統括を務めたメディア総局長が、「レギュラー版の終了後については決まっていないが、視聴者の皆さんにもっと楽しんでいただけるような番組を目指して企画を検討していきたい」と述べています。
タモリさんも御年79歳と高齢になられているので、今後の再レギュラー化はもう望めないでしょう。
我々ファンとしては、今回のように単発特番として放送されるのを期待して待つしかなさそうです。
まとめ
『ブラタモリ』の8ヶ月ぶりの復活。レギュラーシリーズではなく、3夜連続のスペシャル版ですが、ファンとしては嬉しいですね。
この番組に出れば出世するとの噂もあり、女子アナの登竜門的番組とみなされている『ブラタモリ』の第8代アナウンサーは、広島放送局の佐藤 茉那(さとうまな)アナウンサー。
今回の旅のテーマは、「東海道五十七次」。何と東海道には滋賀県の大津から京都三条大橋へ向かうルートとは別に、途中から分かれて大坂(大阪)へと至るルートがあったのだとか。
伏見宿、枚方宿、淀宿、守口宿と巡る今回の旅もとっても興味深いものになりそうです。
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